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商法の基本書 written by 76期司法修習生 佐藤 和樹

商法の基本書 written by 76期司法修習生 佐藤 和樹

1 はじめに

今回は、商法(会社法)の基本書についてご紹介します。

商法は、法的な用語というよりは、会社法特有の専門的な用語が多く、言葉の意味がわかったとしても事例問題で出題された際に、結局何を言っているのかわかりづらい科目でもあります。そのため、いかに具体的なイメージを持ち、内容を理解するのかが非常に大切です。

そこで、今回はおすすめの基本書(演習本含む)をご紹介したいと思います。

2 基本書

1 会社法(高橋美加外3名著、弘文堂)

会社法の基本書といえば、本書です。いわゆる「紅白本」(表紙の色が赤色と白色になっているため、このように言われていると思います)になり、比較的若手の先生方が共同で執筆されています。

内容面は、何よりわかりやすさを追求しており、制度の趣旨から丁寧に1つ1つ解説をしています。さらに、項目も大変わかりやすく(太字で、この項目には何が書かれているのか一目見てわかる項目の立て方になっています。)、非常におすすめできる1冊です。

共同執筆の本によくある記載のブレもなく、また、学説に対立のある論点について独自の少数説を採用することもなく、司法試験対策として安心して読み進めることができます。

また、受験生に配慮してか、本書の値段は他の基本書と比較してもかなりリーズナブとなっており、その点も本当に受験生のことを考えてらっしゃるなと感服します。

非常におすすめすることができる基本書の1冊となっておりますので、会社法の基本書をどれにするか悩まれている方はまずは本書を手に取ることをおすすめします。

通読向き   ★★★★★

わかりやすさ ★★★★★

おすすめ度  ★★★★★

https://www.koubundou.co.jp/book/b524954.html

 

2 会社法(田中亘著、東京大学出版会)

田中先生の単著として、執筆された会社法の体系本になります。やや厚めの感じもしますが、内容は簡易な言葉で丁寧に説明をしており、引っかかりなく読み進めることができるのが特徴です(もっとも、一部、学説では少数説であるところを自説として採用しており、司法試験との関係ではやや注意が必要なところもあります。もっとも、あくまで一部のみですので、そこまで気にする必要はありませんのでご安心ください。)。

会社法の基本書で迷われている方は、上記紅白本と本書の2択になると思います。上記紅白本と本書を比較し、ご自身の好みに合う方を選択して頂ければ問題ないでしょう。

通読向き   ★★★★☆

わかりやすさ ★★★★★

おすすめ度  ★★★★☆

https://www.utp.or.jp/book/b619352.html

 

3 リーガルクエスト会社法(伊藤靖史他3名著、有斐閣)

リーガルクエストシリーズの会社法になり、複数の先生が共同で執筆なされています。分量もそこそこあり、内容もやや難解に記載されている印象を受けますので、通読向きではないと感じます。

そのため、わかりやすさという観点からすると、やはり上記2冊(紅白本と田中会社法)に目おとりしてしまうところがあるかと思います。

通読向き   ★★★☆☆

わかりやすさ ★★★★☆

おすすめ度  ★★★☆☆

https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641179462

 

4 株式会社会社法(江頭憲治郎著、有斐閣)

いわずと知れた江頭会社法です。かなりの分量があり、司法試験との関係ではオーバースペックかと思います(ですので、司法試験との関係では、本書を通読することはおすすめできません。)。

もっとも、他の基本書で疑問に思ったことやわからないことがあった場合には本書を手に取り、調べるとしっかり記載されているという安心感があります。

そのため、本書は会社法の辞書としての意味合いが強いといえます。

通読向き   ★☆☆☆☆

わかりやすさ ★★★★☆

おすすめ度  ★★☆☆☆

https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641138650

 

5 ロースクール演習会社法(中村信男外1名編、法学書院)

ロースクール演習シリーズの会社法になります。内容は比較的簡易な問題が複数記載されており、会社法に苦手意識を持っている方にはおすすめできる演習本です。

掲載されている問題文の種類も網羅的で、広く問題演習をすることができます。もっとも、やや簡易な問題が多く、この1冊のみでは司法試験の論文対策としては不安な面があります。

そのため、本書は会社法に苦手意識を持っている方で、これから会社法の演習を始めるという方向きの演習本といえます。

通読向き   ★★★★★

わかりやすさ ★★★☆☆

おすすめ度  ★★★☆☆

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%BC%94%E7%BF%92%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E4%BF%A1%E7%94%B7/dp/4587040045

 

6 論文演習会社法・上下(上田純子外2名編、勁草書房)

司法試験過去問、予備試験過去問、オリジナル問題といった司法試験対策を意識した演習本です。過去問を取り扱っているだけでなく、答案例も記載されており(掲載されている答案例も実際に司法試験で記載できる答案例になっており、参考にしやすいです)、答案の書き方で悩まれている方にとっては最良の演習本となっています。

一点だけ難点といえば、演習本としては価格がやや高いところです。

通読向き   ★★★★★

わかりやすさ ★★★★★

おすすめ度  ★★★★★

https://www.keisoshobo.co.jp/book/b557067.html

https://www.keisoshobo.co.jp/book/b557069.html

 

3 最後に

このように会社法の基本書(演習本含む)には様々なものが市販されていますが、司法試験という観点からすれば、やはりおすすめの基本書は、紅白本又は田中会社法のどちらかかと思います。

一度、手に取り、ご自身で内容をご確認頂き、相性の良さそうな方を選択して頂ければと思います。

 

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