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司法試験(国際私法) written by 76期弁護士 佐藤 和樹

司法試験(国際私法) written by 76期弁護士 佐藤 和樹

1 はじめに

司法試験・予備試験の国際私法の勉強方法について、悩まれている方は多いと思います。選択科目の1つである国際私法に興味はあるものの、どのような問題が出題され、そもそも出題範囲はどこからなのか等がわからない、そもそも国際私法になじみがないため、選択科目を選ぶ際に初めから除外してしまっている方も多いと思います。

そこで、このコラムでは、司法試験・予備試験の国際私法の勉強方法や出題傾向などについて、具体的に掘り下げてご説明します。

このコラムを読めば、国際私法の出題傾向や勉強方法等がわかりますので、ぜひご一読ください。

 

2 国際私法の特徴

そもそも、国際私法とはどのようなことを勉強する科目でしょうか。

国際私法とは、私人間における国際的な紛争の解決の場面で使用される法律です。ここでのポイントは、「私人間」で適用される法律であることと、単なる私人間の紛争ではなく「国際的な紛争の解決の場面」で使用されることの2点です。

例えば、日本人とアメリカ人との間で生じた紛争について、いずれの国の法律を適用して解決すべきであるか、日本人が海外で紛争に巻き込まれた際、日本人であるから日本法が適用されるのか、それとも海外で紛争に巻き込まれている以上、その海外で通用している法律が適用されるのかなどといった問題を扱うことになります。

そのため、直接的に海外の法律を学ぶ、といったわけではなく、国際的な私人間の紛争において、いかなる法が適用されるのかを学ぶことになります。

具体的には、日本では「法の適用に関する通則法」が代表的な国際私法として制定されているため、当該通則法の学習がメインとなります。

 

3 選択者の割合と人気度

ここでは、国際私法の選択者の割合と人気度についてご紹介します。

直近の国際私法の選択者の割合をみますと、令和5年度では司法試験では9.70%、予備試験では9.76%といずれも9%強にとどまっています。

他方で、令和4年~平成29年度では、司法試験で概ね10.06%~13.00%、予備試験でも10.15%~13.00%を推移しており、例年11%前後を推移している傾向にあります。

もっとも、令和5年度で初めて司法試験及び予備試験のいずれにおいても、国際私法を選択した受験者割合が10%を切ったことから、今後、司法試験の選択科目で国際私法を選択する人は減少する傾向にあるといえるでしょう。

また、他の選択科目と比較すると、国際私法は選択科目8つのうち、5番目に多い受験者数です。租税法や環境法、国際公法に比べれば受験者数は多いですが、とはいえ4番目に多い倒産法と比較するとかなり受験割合が低いことから、司法試験の受験者にとっては国際私法を選択する人は比較的少ない傾向になっているのが現状です。

 

4 国際私法の勉強法

ここでは、国際私法の勉強法についてご紹介したいと思います。ただただやみくもに学習するのではなく、以下の勉強法を参照したうえできちんと対策と計画を練ったうえで勉強することをおすすめします。

 

1 出題範囲を正確に抑えましょう

まず、国際私法を学習するにあたり、出題範囲を正確に抑えることが重要です。基本書を読むにせよ、問題演習をするにせよ、司法試験の国際私法で問われる出題範囲は限られています。ですが、基本書などでは出題範囲を超えた分野について詳細に解説がなされているときもあり、深く勉強をしたとしても結局司法試験には出題されない(または出題傾向が低い)範囲を勉強してしまうことにもなりかねません。

そこで、まずは司法試験における国際私法の出題範囲を抑えることが肝要です。具体的には、上述したように①国際裁判管轄の問題をはじめとして国際民事手続法、②国際的な私人間の紛争をどの国の法律に則って解決するのかという準拠法選択の問題、③条約なども関連する国際取引法の問題の3つ、さらに司法試験との関係では①と②が出題頻度が多いことから、より重点的に学習すべき内容です。

このような出題傾向を強く意識したうえで、基本書や問題演習をすることで、効率よく学習を進めることができます。

 

2 基本書を何度も繰り返すこと

さて、そのうえで国際私法では、まずは基本となるべき知識を覚え、理解を深めるためにも基本書を何度も繰り返し、読み込むことが重要です。

国際私法は他の科目と比べると、暗記量が絶対的に低い科目です。そのため、基本書を通読するのにさほど時間がかからず、また、何度も繰り返して通読することができます。さらに基本書を何度も繰り返し読むことで、条文や法概念の理解が深まると共に、制度趣旨を正確に理解することもできます。

これは、1度ざっと基本書を読んだだけでは身につけることは難しいです。何度も基本書を読み込み、なぜこのような制度が設けられているのかをじっくり考えることが重要です。現に司法試験の採点実感では、例年何度も「個々の法規範の趣旨を理解しているか」という点が明記されています。これは多くの受験生が例年、個々の法規範の趣旨について理解しているか疑わしい傾向があることを示唆しています。

だからこそ、基本書を何度も読み込み、制度趣旨を正確に、深く理解することが合格への最短ルートであるといえます。

 

3 過去問演習も忘れずに

そのうえで、制度の趣旨を理解したとしても、それを実際の答案に反映させることができなければ意味がありません。さらに、本試験でどのような問題が、どのように問われているのかも知らなければ本試験で苦労してしまいます。

本試験は論述式の問題が出題されていることから、自分の言葉で説得的に問題文で問われていることに対して回答をしなければいけません。頭で理解できていても、答案用紙に言葉で反映することができなければ意味がありません。

そのため、問題演習を何度も繰り返すことで、言葉が洗練され、論述力を鍛えることができます。逆に問題演習をしなければ、一向に論述力は身に付きませんので、面倒だと思うかも知れませんが問題演習の際には実際に自分の手を動かし、書くことが大切です。

そして、問題演習の教材として最も最適なのは過去問です。国際私法の過去問は非常に充実しており、過去の問題には出題趣旨や採点実感もありますので、出題者がどのような趣旨で出題したのか、受験生の出来はどうであったのかも一目瞭然です。

したがって、アウトプット学習として、過去問を何度も解き、出題趣旨と採点実感を読み解く学習が効率的かつ確実な勉強方法であるといえるでしょう。

 

まとめ

以上、国際私法の学習について、ご紹介いたしました。

国際私法は他の科目と比較しても暗記量が少ない科目です。そのため、正確な理解に基づいた答案論述力が問われる科目でもあります。もっとも、学習のポイントも明確であるため、対策を立てやすい科目の1つであるともいえます。

ぜひ本コラムを参照して頂き、司法試験の選択科目である知的財産法の学習を効率よく進めて頂き、合格を勝ち取って頂きたいと思います。

 

 

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