弁護士事務所の就活事情 written by 76期司法修習生 佐藤 和樹
1 はじめに
今回は、弁護士事務所の就活事情について、ご紹介いたします。
皆さん、弁護士事務所の就活についてどのようなイメージを持たれていますか。
合同説明会があり、エントリーシートを記載し、面接をして・・・等々
もちろん、そのような流れを経る事務所もあります。ですが、弁護士事務所といっても大手事務所から個人事務所まで多種多様です。すべての事務所が上記流れを経るわけでもありません。
そのため、漠然と就活をしなければいけないという意識はあるものの、具体的にどのような流れで、いつ頃から動き出すのかイメージが湧かない方もいらっしゃるのではないかと思います。
そこで、今回は弁護士事務所の就活事情について、ご紹介したいと思います。
2 就活情報はどこから入手するのか
そもそも、弁護士事務所の就活情報につき、どこから入手したらよいのか疑問に思われている方も多いと思います。
一般的には、ひまわり求人求職ナビを参照することが多いですが、当サイトでも求人情報を掲載しているので参考にしてみてください。
その他、法科大学院(又は大学)、予備校から情報が提供されることもあります。また、個別の弁護士事務所HPに求人情報を掲載している事務所も多々あります。逆に一般には求人情報を公開していない事務所もあります。
さらに、東京3会をはじめ、弁護士会単位で合同説明会を開催する場合もあります(昨今はオンラインでの合同説明会が主流になっています)。
ご自身がどのような法律事務所に興味・関心を持っているのかにもよりますが、弁護士事務所の情報はこのように様々な方法で入手することが可能です。
様々な弁護士事務所を知り、どのような事務所と相性がよいのかを見極めるためにも、積極的に自ら情報へアクセスしていくことをお勧めします。
3 実際の就活時期
では次に、実際の就活時期につき、以下ご説明いたします。
(1)司法試験受験前
大手の事務所や採用活動を積極的に行っている事務所では、司法試験受験前の時期(司法試験受験予定生向け)からサマクラやオータムクラーク、在学生向けの事務所訪問等を実施しています。
司法試験の勉強で毎日忙しい日々を送られているかとは思いますが、もし余裕があるようでしたら、ぜひこの時期から事務所訪問に参加することをお勧めします。
就活という観点からいいますと、事務所側がなぜ司法試験合格者だけでなく、在学生に対しても事務所訪問を実施しているかというと、それは在学生であってもよい人材を事前に確保しておきたいという意図があるからです。
在学生側としても、法律事務所のイメージを知るよい機会ですし、司法試験の勉強に対するよいモチベーションになると思います。
また、司法試験受験後の事務所訪問について、在学生の頃に参加をしていた人に優先して声を掛ける事務所もありますので、今後の就活を見据えてという意味においても、在学生の頃から参加できる事務所訪問にはぜひ参加することをお勧めします。
(2)司法試験受験後合格発表前
さて、司法試験の受験を終え、一息つくのも束の間、司法修習の準備に追われている時期だと思います。しかし、実は弁護士事務所の事務所訪問は行われています(司法試験受験後から司法修習までの過ごし方については、別記事にて掲載しています。)。
司法試験前と比較し、司法試験終了後の方が、より多くの弁護士事務所が事務所訪問等の募集を行っています。
この時期の事務所訪問は、より採用活動という意味合いが強く、事務所側も事務所訪問を募集するにあたり、履歴書や法科大学院(又は学部)の成績等の提出を修習生に求めることが多いです。事務所によって異なりますが、1日だけのところもあれば、数日間かけて(おおよそ3日前後が多い印象です)事務所訪問を行うこともあります。事務所訪問の内容も、事務所によって異なりますが、概ね、所属している先生方から事務所の紹介をして頂き、質疑応答後、懇親会といった流れが多いです(もっとも、オンラインの場合は、懇親会は基本的にありません)。
また、この時期に弁護士求人ナビの合同説明会も開催されています。どの事務所が良いか決めかねている人は、合同説明会から参加することをお勧めします。
このように、司法試験受験後から合格発表前までの期間は、受験生も時間に余裕がありますので、積極的に事務所訪問をするようにしましょう。
(3)合格発表後司法修習前
無事に司法試験に合格をした後、司法修習が始まる前の時期は、個々の事務所が事務所訪問を企画するだけでなく、全国の弁護士会が弁護士事務所の合同説明会を開催する等、より就活の動きが活発化します。
また、今までは司法試験受験生であったのが、司法試験合格者となり、事務所側も具体的によい人を採用したいという意図のもと、事務所訪問を開催します。
具体的には、今までは事務所訪問をして事務所を知ってもらうことが主なコンセプトでしたが、合格発表後は事務所訪問の際、採用募集に興味のある人に対し、エントリーシートの提出を依頼し、採用選考の流れになります。
つまり、事務所訪問は、採用選考の流れに乗る第1歩になります(事務所訪問参加者のみを採用選考対象者とする事務所も中にはありますので、注意が必要です)。
採用選考の流れは、
①書面審査→②第1次面接(集団面接)→③第2次面接(個別面接)→③最終面接(個別面接)
となることが多いです。また、各面談終了後は懇親会がある事務所もあります。面接では硬い質問を行い、懇親会ではリラックスした雰囲気のもと、より深い質問が出来たり、事務所の雰囲気に合うかなどをお互いに確認することが出来ます。また、考え方や性格といった、より深い部分を見ることを目的としている事務所もあるようです。
事務所及び合格者双方の相性を確認する意味がありますので、合格者側も遠慮なく、事務所の先生方に疑問に思ったことはご質問をするとよいでしょう。
司法修習前に合格者に対して内定を出す事務所も多いようです。修習後でも間に合いますが、司法修習前に弁護士事務所の内定を得ている方も多い印象があります。
(4)司法修習以降
もちろん、司法修習以降においても、弁護士事務所は採用活動を行っています。
司法修習以降は、分野別実務修習先の司法修習担当弁護士の先生や弁護修習先の先生方に相談すると、事務所をご紹介頂いたりすることもありますので、困ったときは相談をするとよいでしょう。
司法修習開始以降に採用募集を行う事務所も多くありますので、情報を見落とさないよう注意することが大切です。
4 最後に
このように、弁護士事務所の採用活動は、弁護士事務所ごとによって異なるところもありますが、大まかな流れは上述したとおりとなります。
いずれにせよ、積極的に事務所訪問に参加し、ご縁のある事務所との出会いがあることを願っています。