司法試験合格に向けた計画策定~法科大学院生は予備試験を「必ず」受験すべきなのか~(上)
目次
1.はじめに
こんにちは、おひさまです。
朝夕に肌寒さを感じる季節となりましたが、皆様体調は大丈夫ですかね。
私は、日中は暑く、朝夕は冷えるもんだから、部屋の温度管理に苦戦しています。はやく1日中過ごしやすい季節になってほしいものですし、風邪などの病気にかからないように気を付けたいと思っています。
読者の皆さんも、体調管理にはお気を付けください。
さて、前置きはこのくらいにして。
今回は、タイトルにもある通り、法科大学院在学中における予備試験受験に関する記事となっております。
今回のテーマは全3~4回(予定)で公開する予定です。今回は、この記事を書くに当たったきっかけや目的、執筆に当たって行ったことをご紹介させていただければと思います。
私のTwitterで先日、この記事を執筆していて、この記事を執筆している旨を投稿したところ、多くの反応をいただきました。実際にツイートのインプレッション数やエンゲージメント数も、他のツイートと比べても数倍以上多かったので、みなさんとしても関心の大きい事柄なのかなと感じているところです。
なんでこのテーマで記事を書こうと思ったかというと、(のちに触れるかと思いますが)私自身の経験があります。
法科大学院在学中は、予備試験を受験することについて「当然に受けるもんでしょ」という安易な考えで受け、いろいろと失敗したなあと思うことがあったためです。
そんな私の反省を皆さんにお伝えできればなあと思ったことがきっかけです。
一方で、私の話だけ伝えても偏った情報しか提供できないような記事になったらいやだなあと記事の構想を練っている段階で思いました。
そこで、このテーマに係る記事を読んでくださっている皆様(内容的に、主な読者層は法科大学院生や司法試験受験生だと思います)に多くの情報を提供することができればなと思い、今回この記事を執筆するにあたって、私の同期にあたる74期司法修習生や、先日行われました令和3年度司法試験に合格された合格者の方にご協力いただき、アンケートを実施させていただきました(詳細は後述)。
アンケート実施に当たり、現在司法試験合格を目指されている受験生の皆さんに向けたメッセージやアドバイスも頂戴したので、それも掲載させていただきます。
今回の記事のテーマに関して、自分で結論はもう固まっているよっていう方や、興味ないよっていう方も、是非読んでいただけたら嬉しいです。
2.今回の記事の目的について
先ほども触れましたが、今回から続けて投稿する記事の内容は、法科大学院生の予備試験受験に関し、法科大学院在籍経験のあった人たちがどういう考えを持っていたのかをご紹介したり、私の経験談を伝えることで、皆さんの目下の最終目標であろう司法試験合格に向けて、どういったアプローチの仕方があるのか、目標達成の一過程として法科大学院在学中に予備試験を受けるべきかどうか、皆さんの合格までの計画建ての上で有益な情報を提供することを目的としています。
誤解しないでいただきたいのは、本記事は、
法科大学院生は法科大学院在学中に予備試験を受験するべきで[ある/ない]
という結論を出し、それを押し付けるものではないということです。
今回のテーマが、皆さんの最終目標到達にとって本当に必要なものは何かを考えるにあたっての参考になれば幸いです。
3.予備試験の概要
ご存知の方も多いと思いますが、ここで予備試験の概要に軽く触れたいと思います。
予備試験は、「司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者(法科大学院修了者、おひさま注)と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに口述の方法により行」われる試験のことです(司法試験法第5条)。
法律上の文言を引用しましたが、簡単に言うと、司法試験の受験資格を得るための試験ということです。
司法試験の受験資格は、法科大学院修了者(修了の日以後の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間が有効期限)に与えられるほか、予備試験合格者(合格の発表の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間が有効期限)に与えられます。
4.記事の執筆にあたって行ったこと
冒頭でも触れましたが、今回の記事の執筆にあたって、僕の意見だけでは偏りが生じてしまうのでよろしくないと考えました。
そこで、74期の修習同期や令和3年司法試験合格者(75期司法修習予定者)の友人・後輩にご協力いただき、アンケートを取らせていただきました(アンケートに協力してくださった皆様ありがとうございました!)。
名前は伏せさせていただきますが、いずれも法科大学院在学経験のある方です(予備試験合格による休学・中退も含む)。
また、経歴としても、大学卒業後即法科大学院に入学された方はもちろんのこと、社会人を経て法科大学院に入学された方もいらっしゃります。
アンケートで聞いた内容は以下の項目です。
Q2:法科大学院在学中、予備試験を受験しましたか。 → はい / いいえ
(Q2で「はい」と答えた方を対象とした質問)
Q3-1:あなたが予備試験を受験した目的または目標を教えてください。
Q3-2:Q3-1であなたが定めた目的・目標を達成するにあたり、どんな取り組みをしましたか。
Q3-3:受験の結果はどうでしたか。
Q3-4:予備試験の勉強にあたって、法科大学院に通いながら予備試験の勉強をする上で苦労したこと、大変だったことはありますか。あるとすれば、どのようなことですか。
Q3-5:予備試験を受験したことでよかったこと、その後の司法試験の勉強で役立ったことはありましたか。
(Q2で「いいえ」と答えた方を対象とした質問)
Q4―1:予備試験を受験しなかった理由を教えてください。また、法科大学院入学以前に予備試験を受験したことがある場合は、入学後には受験しなかった理由も併せて教えてください。
Q4-2:法科大学院在学中、どのようなことに力を注いでいましたか。
Q4-3:予備試験を受験しなかったことによる利点があれば教えてください。
Q4-4:逆に、予備試験を受験しなかったことで後悔したことはありますか。
(以下、「全員」に対して行った質問)
Q5:司法試験合格に向けて、中心にしていた学習はなんでしたか。
Q6:最後に、現役の法科大学院生に対してアドバイス・メッセージがあればお願いします。
アンケートでは、回答者のみなさまの法科大学院在学中の取り組みや、予備試験受験の意図・目的を中心に質問させていただきました。
現在法科大学院に在学している方は、参考になる部分も多いと思います。そうでないかたも、法科大学院生がどういった意識をもって過ごしているか知ることで、いろいろ得られるものがあるかもしれません。
私自身、今回アンケートを募り、皆様の回答を拝見しましたが、意識や合格に向けた目標設定が多種多様で、「在学中この人のこういう方法でやったほうがより充実した学習ができただろうな」と感じることもありました。
また、回答者のみなさまには、司法試験合格に向けて行っていたことやアドバイスもいただきました。是非ご覧ください。
5.アンケートの内訳
今回取らせていただいたアンケートは、文章での回答の形式としました。
そのため、記事の制約上多くの人の回答を公開できないなと思ったので、私を除いて13名の方に文章形式でご回答いただきました。
内訳としては以下の通りです。
→うち最終合格者4名
未受験者:6名
いずれの方も、お忙しい中ご協力いただいて回答していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
6.おひさまの回答及び経験から伝えたいこと
第1回目の今回は、私のアンケートの回答内容を公開します。その上で、私の経験からお伝えしたいことを書かせていただければと思います。
(1).おひさまのアンケート内容
Q1:司法試験合格までの経緯を教えてください。
Q2:法科大学院在学中、予備試験を受験しましたか。
Q3-1:あなたが予備試験を受験した目的または目標を教えてください。
Q3-2:Q3-1であなたが定めた目的・目標を達成するにあたり、どんな取り組みをしましたか。
Q3-3:受験の結果はどうでしたか。
Q3-4:予備試験の勉強にあたって、法科大学院に通いながら予備試験の勉強をする上で苦労したこと、大変だったことはありますか。あるとすれば、どのようなことですか。
結果的に予備試験受験は中途半端に終わってしまったし、中間試験の成績も大した成果をあげられなかったので、振り返れば、(少なくとも3年次は)予備試験受験はしなくてもよかったかなと感じています。
Q3-5:予備試験を受験したことでよかったこと、その後の司法試験の勉強で役立ったことはありましたか。
手続分野の理解がはかどった(訴訟法科目)
Q5:司法試験合格に向けて、中心にしていた学習はなんでしたか。
予備校の論文答練は活用している人も同期には多くいたが、自分はそんなに活用しなかった。
Q6:最後に、現役の法科大学院生に対してアドバイス・メッセージがあればお願いします。
皆さんの合格を祈念しています。
(2).アンケートを踏まえて
以上が私の回答内容です。
私は、在学中予備試験を受験していましたが、その目的は最終合格にはなく、論文式試験の受験(短答式試験の合格)に定めていました。予備試験と司法試験の考査委員には共通している人が多く、採点の感覚をつかむことができるのではないかと考えたためです。
ですが、短答式試験が苦手であること、上記のとおり時間の確保に苦労し、短答式の知識の詰め込みが甘かったことから、実際には論文式試験には進めませんでした(これは私の能力不足です)。
一方で、予備試験の短答を受験したことで、短答式試験が得意でないことを自覚できましたし、本試験の短答で点数を稼ごうと時間を割くよりは、本試験の短答式は足切りラインを突破すれば十分と割り切って勉強することができました。
※短答式試験の私なりの目標設定については、noteで以前ご紹介させていただきました。リンクはこちら
ただ、法科大学院3年次は、私としては、受験しなくてもよかったかなと振り返れば思います。私個人としては、最終合格の見込みが低いと思っていたし(1番の障害の短答式がしょっぱなに来る)就職活動を見据えて法科大学院での自分の成績をもっと上げたいと考えていたからです(成績は、最終的に上位10%圏内に位置することができましたが、サマークラークの選考も受けている中で中途半端に予備試験に向き合ったので、中間試験の成績は悪かったです。法科大学院での学習に専念していれば、もっといい成績をとれたのではないかと反省ばかりです)。
また、法科大学院では、実習等を通じて多くの実務家と触れ合うことができます。当時は今と違い、コロナウイルスが蔓延する前でしたので、実務家の先生と食事をしたり、飲む機会も多くありました(当時アシスタントで実務家主催の講義をサポートしていましたが、その中で四大事務所のパートナーになりたての人と食事させていただきました。パートナーになったことで感じている苦労などを聞けたのはとてもよかったです)。
また、エクスターンシップやサマークラークでは、選考段階より弁護士の先生方と長い時間お話させていただくことで、先生方がどういう意識をもって業務しているのか、その一部分を知ることができました。
そういった人から吸収する機会が一番多かったのは法科大学院3年次だったなと振り返れば思います。司法試験の学習ももちろん大切ですが、その先のことも見据えて行動することも同様に重要と考えています。
読者の皆さんも、限られた法科大学院での時間(感覚的には一瞬で過ぎた感じです)をどのように使うか、司法試験に合格するため、そして自分の理想とする法曹になるため(あるいはそれを見つけるため)にどういうことが必要なのかを今一度整理すると、充実した生活を送れるのではないかなと思います。
6.おわりに
以上、私の経験を伝えさせていただきました。次回以降は、他の回答者のアンケート内容をご紹介して行きたいと思います。今回の記事から間隔があかないように投稿していければよいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。