法律事務所の就活過程と意識していたこと
こんにちは。おひさまです。
今回は法律事務所の就職活動に関する記事になります。
今年度の司法試験を受け終えた方は、現在就職活動真っただ中にあるかと思います(すでに内定を得られた方はおめでとうございます)。
公開の時期が司法試験合格発表日前後で、多くの方が就職活動を開始(あるいは再開)される時期ではないかなと思い、本記事を執筆することにしました。
私の経験をお伝えし、読者の皆様のお役に少しでもたてばいいなと思います。
目次
0.なぜ事務所就活の記事を書こうと思ったか。
今回就職活動に関する記事を書こうと思ったのは、私自身法律事務所の就職活動をするなかで、情報収集に一番苦労したからです。後述しますが、私はいわゆる大手事務所(四大法律事務所など)志望ではありませんでした。その一方で、法曹を志していた周りの先輩や大学を早期卒業して法科大学院既修修了や、予備試験合格により自分より早く司法試験に合格した同期は、早い段階で大手法律事務所に内定をいただいている方々が多かったので話を伺ったりはしていましたが、自分の希望する事務所の就職活動をするにあたって活きた情報はそのうちの僅かでした。また、弁護士事務所の就活に特化した情報はインターネットでリサーチしても少なく、結局はエントリーして選考を受けてその中で得られた経験や反省を以降の就職活動に活かしていくという方法で就活は進めていました。
このような経験から、せっかくライターをやらせていただくのであれば、私の事務所就活の経験を記事にして、これから事務所就活をされる方々に役立つ情報を提供できればとおもい、今回記事にした次第です。
事務所就活の情報は、私が個人的に執筆しているnoteにも書かせていただいたのですが、本記事ではより具体的な内容を記載させていただければと思います(選考内容の詳細や、就活をしていた当時の心境など)
noteのリンクはこちら
1.おひさまの事務所就活について
私は、令和2年司法試験(8月実施)終了後、事務所就活を開始し、年明けの3月頃に事務所から内定をいただくことができました。
私は使用者側の労働関係や企業法務に興味を持っていたので、そういった分野に注力している法律事務所にエントリーしていました。
本記事を執筆するにあたって、私が就活をしていた頃の書類を整理しました。私の事務所就活は以下のような内訳になっていました。
・説明会参加→ 20~25箇所
・エントリー→ 18箇所
・書類通過、1次面接参加→ 9箇所
・1次面接通過、最終面接参加→ 4箇所
・内定→ 1箇所
振り返ると、説明会やエントリーはトータルで30箇所を超えていました(個人的には多く参加したような感覚でありました)。
法律事務所は取扱い分野、クライアントの対象(個人か法人か、国内のみか海外もあるのか等々)、所属弁護士の人数などの観点から、その特徴が多種多様です。事務所が多数存在していることから、自分に合っている事務所はどこなのか、どういう事務所が自分の感覚に合うのかしっかり見極めたいと当時思っていました。
ですので、事務所説明会には、日程が合う限り多く参加するようにしました。
説明会の段階では、事務所のジャンルや規模感は特に絞っていませんでした。就職活動当時の自分の印象や情報のみでは偏っていると思い、説明会を経ることで前後に持っていたその事務所のイメージが変化することもあるかなと思っていたためです。実際に、事務所説明会に参加したことで、それまで持っていた印象と実際の事務所の様子が異なっていたと感じる事務所も相当数あり、エントリー・面接受験にまで進んだ事務所も結構ありました。
各選考過程に関する詳しい説明は2でしたいと思います。
2.各選考過程について
事務所説明会
法律事務所の概要についての説明を事務所所属の弁護士の先生方が行ってくださります。私のころから、説明会はオンライン開催となったところが多くありました。自宅からよく参加していました。
説明会には、事務所主催のものや法科大学院・企業主催による合同開催のものなどが主にあります。弁護士求人ナビの方でも、75期修習予定者向けに合同説明会が開催されるようですね。ご興味ある方は是非。笑
URLはこちら
私は、事務所説明会の情報は主に求人サイト、所属していた法科大学院の情報、紹介といった方法で収集していました。
求人サイトとは、アットリーガルやひまわり求人などのことで、私は、司法試験実施後は主にアットリーガルを、司法試験合格発表後はひまわり求人を参照していました。
アットリーガル:https://www.atlegal.jp/
ひまわり求人:https://www.bengoshikai.jp/kyujin/link.php
また、法科大学院修了生であれば、事務所就活の情報は、法科大学院からメール等で通知されるようになるところもあります(私が所属していた早稲田では、頻繁に就活情報の通知がありました)。
紹介というのは、法科大学院在学中や修了後までの間、司法試験勉強にむけたカウンセリングを担当してくださった弁護士の先生などから、司法試験後に、所属している事務所で説明会を開催しているから、ぜひ参加してくれという形で誘いを受けて参加する説明会を指します。実際に、法科大学院在学中にエクスターンシップなどでお世話になった弁護士の先生の下に就職するといった事例は少なくないです(私の周りに限った話にはなりますが)。
エントリー
事務所就活の選考に参加することを言います。
事務所の中には、説明会に参加した就活生でなければエントリーができないといった制限を設けている事務所もあったように記憶しています。
もし、興味のある事務所が、説明会参加をエントリーの条件にしている事務所でないか確認しておくといいと思います。
書類選考
エントリーをしたら(あるいはエントリーのタイミングで)、法律事務所より履歴書やエントリーシートの提出を求められます。そして、提出された書類をベースにどの就活生を面接に呼ぶかを決めるのが通常だと思います。
主な提出書類としては、志望理由等を記載した書面(履歴書やエントリーシートという名目のことが多いです)、成績証明書(大学・法科大学院のもの)、司法試験短答式試験成績通知書、司法試験合格証明書兼成績通知書があげられます。
志望理由等を記載した書面は、事務所が用意しているところや書式自由なところなど幅広くあります。
私は、既存の履歴書を法律事務所就活用に多少改変して用いていました(改変については、選考に当たって特に大きな支障はなかったです)。
履歴書の記載等で意識していたことは、「4.事務所就活においておひさまが意識していたこと」で書かせていただければと思います。
面接
多くの事務所は、書類選考を通過すると、次に1次面接が選考として待っています。私の時は、コロナウイルスの影響もあってか、序盤はオンラインでの面接が多く、選考を通過すると実際に事務所に呼んで対面で面接をするところが多い印象でした。
面接では、提出した書類等を踏まえて面接官の先生から質問をされます。私が経験したものだと、志望理由・興味のある法分野・任官任検は考えているか・他の事務所ではなぜダメなのかなどを聞かれました。
また、面接と並行して、筆記課題や模擬法律相談を選考課題としている事務所もありました。
筆記課題は、実際に弁護士として事案処理をどのように行うか、検討事項や争点はなにかを問うものがありました。司法試験に親和的な内容や、実務的観点が求められる課題が多かったです。
模擬法律相談は、私が受けたものだと、弁護士の先生が依頼者の立場になって主体的に法律相談を行う形式でした。受けた相談で、何が問題となるのかを早急に理解し、適切な受け答えができるのかが見られていました。
最終面接
書類選考を通過し、複数回の面接を経るといよいよ最終面接が待っています。最終面接は、代表弁護士や、事務所経営に携わる弁護士の先生が中心となって質問を投げかけられます。最終面接になると、本当に受験者を事務所に参画させる必要があるのか慎重に判断されます。
最終面接を通過すると、事務所から内定のオファーがいただけます。
3.就職活動に当たって参考にしたもの
私は、就職活動にあたっては、以下のものを参照していました。
(1).新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講
西田章先生の書籍です。同書籍は、司法試験合格後に弁護士としてのキャリアを積むにあたって遭遇するイベントなどについてキャリア段階ごとに解説をしているものになります。
この本には、司法試験合格後の就職活動についても記載がなされており、書類で記載すべき事項や面接の際の振舞い方、逆質問の際に意識すべきことについて言及されています。私は、司法試験合格発表後に西田先生の本を買い、就職活動の対策に役立ちました。
(2).弁護士になった「その先」のこと。
中村直人・山田和彦両先生の書籍です。同書籍には、事務所経営に関する事項や若手弁護士が専門性をどのように形成すべきかついて記述されています。私は、同書を読んで、専門性の形成や事務所経営に参画することについて自分なりの意見を作り、面接で聞かれたときにしっかりと答えられるように、また逆質問で面接官の先生方にこれらについてどのような意見を持っているかをきいて、形成した自分の意見と比較対照して今後につなげられるようにしていました。
(3).全国法律事務所ガイド2016
商事法務より出版されている書籍です(今は絶版かもしれないです。私はフリマアプリで手に入れました)。弁護士事務所の概要・人数などがまとまっています。私は、自分が専門分野としたいと考える法分野を取り扱っている事務所はどこかを調べてみたいなと思って、買ってみました。インターネットでしらみつぶしに探すよりは1冊にまとまっていたので便利でした。
(4).若手法律家のための法律相談入門
中村真先生の書籍です。模擬法律相談の際に参考にしました。模擬法律相談の際には、実際の法律相談のような対応が求められていました(実際に講評の際にも、法律問題への言及よりも事情聴取能力などの点を批評いただきました)。
私が読ませていただいた本は、いずれも事務所就活をするにあたって、自分の考えを形成するにあたって非常に有益なものばかりでした。このほかにも、弁護士業を考えるにあたって有益な本がたくさんあります。是非探してみてください。
4.事務所就活においておひさまが意識していたこと
私が事務所就活において意識していたのは以下の点です。
①志望理由の使いまわしは可能な限り控える
法律事務所を複数受けるとなると、その分履歴書やエントリーシートを作成しなければなりません。そうすると、どうしても志望理由を使いまわしたくなると思います。ですが、個人的には志望理由は事務所ごとになるべく内容を変えたほうがいいと思っています。テンプレートを1個作成して、それを使いまわすと、「事務所理念とその志望理由あっているの?」と捉えられる危険性があると感じたからです。私は、法曹(特に弁護士)になろうと思った経緯を文章化した上で、事務所ホームページや上記の「全国法律事務所ガイド2016」で事務所理念などを確認した上で志望理由を事務所ごとに作っていました。
事務所の方が志望理由をどの程度重視しているかは、私たちからはわかりませんが、私が面接官だったら、事務所理念に合っているか疑わしい人は、相対的に書類の段階で評価を下げるような気がしています。
②面接後・結果後は御礼メールを送る
私は、面接は弁護士の先生方や事務員さんが業務で忙しい中時間を割いて面接をしてくださっているという認識の下毎回面接に臨んでいました。面接の中では、先生方と名刺交換をする機会もありました。ですので、面接に対応してくださった先生方には可能な限り終了後に御礼メールを送るようにしていました。
先生方がどの程度メールに目を通されるかはわかりませんが、こちらからお礼を伝えるのは大事ではないかなと思います(現在も、里子修習などでお世話になった先生方には御礼メールを送るようにしています)。
③面接官の質問に対して無言を貫かない
面接官に質問をされたら無言にならずに返答するように心がけていました。無言を貫いていると、感覚的に求められる回答のハードルが上がるような気がしています(笑)。
想定問答などを作成しておくと、質問されてもすぐに答えれるようになります(私はそうでした)。
5.おひさまが伝えたいこと
以上、私の経験も踏まえて、事務所就活について書かせていただきました。これだけ書きましたが、正直就職活動も司法試験の勉強と同様に正解はないものだと思っています。今後就職活動をされる皆様は、それぞれの説明会や選考を経て、「他の就活生のこういうところは参考になるな」、「自分のこういうところはよくなかったな」と反省して、次回以降の就職活動に活かすなど試行錯誤しながら進めるのがいいかなと思います。私が書いた経験なども、今後就職活動をされる方の参考になれば幸いです。
また、就職活動を進めていけば、周りの友人や知り合いがどんどん内定が決まっていってどんどん焦ってくる方もいるかと思います(私自身もロースクールの周りの友人が早期に内定をとるなかで、決まってないのが自分だけといった状況になり、当時非常に焦っていました)。ですが、振り返ると、就職活動は内定の早い遅いで優劣が決まるようなものでもないですし、周りに惑わされて結果的に自分に合う事務所を見極められない方がマイナスだと思います。先輩の弁護士の話を聞いても、入所後のミスマッチで退所する方も相当数いるようです。ですので、焦らず自分のペースで頑張るのが一番いいと思います。
皆さんが充実した就職活動をできるように応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。