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「あの人みたいに、上手くやれない…」~人生の行き詰まりを感じたときの処方箋

「あの人みたいに、上手くやれない…」~人生の行き詰まりを感じたときの処方箋

0.はじめに

こんにちは!ぽんぽんです。
いつも弁護士求人ナビをご覧いただきありがとうございます。

先月9月には令和3年司法試験の合格発表がありましたが、早いもので今年の75期司法修習生向け就活戦線はすでに始まっています。

司法試験に合格してからが人生の始まりとよく言われますが、
「司法試験には合格したけど、思い描いたような就職先に出逢えるのかな…」
「司法試験に合格しても空の色なんか変わらなかった。ここから先、大きな目標もない自分の人生はどうなってしまうんだろう。」と、不安になっている方もおられるのではないでしょうか。

司法試験に合格した後の日々では、「(学業)成績」というきわめて客観的な指標以外の
「ポテンシャル」「才能」「自分の個性」といったパーソナルな部分も含めて評価が下されていきます。
エントリー先から届く「不採用」の文字を見るたびに、自分の存在そのものが否定されたような感覚に陥るかもしれません。

今日は、司法試験を合格した後に待ち受ける日々を力強く歩んで頂けるように、ぽんぽんからの応援メッセージを書かせて頂きます。
最後までお読み頂けると嬉しいです。

1.ド直球の正論と形容し難い感情の間

(1)他者の幸せを喜べないならSNSをやめるべき?

SNSには、日々、たくさんの人の幸せが溢れています。
素敵な恋人ができた、結婚した、子どもが生まれた、合格した、就職先が決まった、かっこいい物を買った…
これら「他者の幸せ」は、本来であれば、素直に一緒に喜びたいものですよね。
しかし、誰かに批判されたり理不尽な目に遭ったときなど、人生に不安や不満を抱えている場合には、「そんなに人生うまくいかないよ」「自分はこんなにしんどいのに、よくこんな投稿できるよ」等卑屈になってしまうこともあるのではないでしょうか。

このような場合に、まず思いつく簡潔な解決方法は「SNSをやめる」ことかもしれません。
しかし、昨今の一億総デジタル社会においては、これは非常に極端な方法でしょう。
受験期間等、期間を限定してSNSから離れることはあり得ることですが、「人の幸せを目にしたくないので一生SNSを利用しない」というのは、かえって人との交流や関わりを希薄にし、人生に対するマイナス感情を助長する恐れが多分にあります。

(2)「他者の幸せを喜べない自分」に対して語られる正論とその裏にある事情

ここで、このような「ド直球の正論」が考えられます。
そもそもなぜあなたが他者の幸せを素直に喜べないのかというと、「自分だって成功したい」「華々しくSNSで喜びたい」「なのに、できない」と自分の承認欲求が満たされておらず、制御不能となっていることが理由ではないでしょうか。
承認欲求は一度満たされてもどんどんテーマを変えて増殖し続ける非常に厄介な存在ですから、まずは自分自身で承認欲求をコントロールするか、これを乗り越える方法を考えるべきです。

確かに、この正論は一理あります。しかし、コトはそう単純ではないように思います。

司法試験受験生だった私たちは、これまで承認欲求の奴隷とされてきました。
その背景にあるのは、日本の司法試験は構造的に「成功体験を積む場所」がほとんど存在しないという問題です。
司法試験は5年以上の月日をかけて挑戦する人が大半です。どれだけ短期間でも2,3年は確実にかかってしまう上、試験は1年に1度きり、唯一の類似試験である予備試験も超難関…と、成功体験を積める場所が予備校の提供する答練や、法科大学院での期末試験しかない状況にあります。
このような状況の中では、受験期間に細かい短期目標を定め着実にクリアし、当初のモチベーションを維持する等の工夫を自ら施さない限り、「量が多い」上に「なかなか定着しない」法律学習では失敗経験しか積めないことが多いのです。
こうして積み重なった失敗体験は、数年の時をかけて「早く合格して認められたい」という承認欲求をすくすくと育ててしまいます。
もちろん、上記の通り、細かく目標を設定する等この状況を回避する方法もなくはないのですが、この方法に自力でたどり着ける人は受験を知り尽くしている人くらいではないでしょうか。

さらにもう1点、重大な問題があります。
承認欲求が大きく成長してしまい、他者の成功や幸せを素直に喜べない自分に気付いたとき、多くの人は自分を強く責めてしまうという問題です。
「司法試験に受かっていないだけでもダメなのに、人の幸せまで認められないなんて自分はなんてひどいやつなんだ。そんな自分はダメだ!」と、自己否定に走ってしまうのです。
勉強が思い通りに進まない、なかなか合格のゴールが見えてこない、自分が成長しているのかもわからないというストレスに加えて、「至らない自分」「性格が悪い自分」という社会人としての不適格性にも直面した結果、司法試験には関係ない部分でも自分を認めることが出来なくなり、「とにかく認められたい。そうじゃないと心が凍え死ぬ…」と負のループから容易には抜け出せなくなります。

2.人生の行き詰まりを感じたときに―今すぐできる解消法(処方箋)とは?

司法試験に合格することで上記の負のループから無事に脱出したと思ったのも束の間、次は「就活」「司法修習での成績」「弁護士としての評価」…と永遠に評価が下される場所は続いていきます。
どこかで劇的な勝利を収めたとしても、また次の瞬間から新たな戦いが始まるのですから、私たちの気が休まる場所はどこにもないようにも思えてきます。

そんなときは、自分が直面している物事の「もうひとつの面」を見るように心がけることをおすすめします。

司法試験合格後から始まった法律事務所就活では、冒頭の通り、成績以外の自分のパーソナルな特性でも優劣が付けられてしまいます。
これは一見マイナスな出来事ですが、「もうひとつの面」に目を向けるとこんなことが見えてきます。例えば…

「司法試験の勉強だけをしていたときは、自分の個性なんて見てもらえなかった(面白い一発ギャグを思いついたのに、答案には書けなかった!)。だから、もっと自分と向き合って個性を掘り下げるチャンスじゃないか?」

「この事務所は自分と合わなかったんだな。何が合わなかったんだろう。そういえば、事務所の知名度や年収で選んでいて、取扱い分野や事務所理念に目を向けていなかったかもしれない。次からは、『自分に合うか』を事務所のホームページをじっくり読んで検討しよう。」

このように、物事の悪い面ばかりではなく、もうひとつの「良い面」にも目を向ける細かな努力をすることは、非常に万能なクスリであるように私は思います。
物事の「良い面」に目を向けることで思いがけない打開策を発見したり、そもそもさほど大きな問題ではなかったことに気付く可能性も大いにあるのです。

司法試験に合格したことをたくさん褒めてもらい、素敵なお祝いをしてもらっても、その幸せは一時的なものにすぎません。1か月、1年…と長く続いて、未来の困難から自分自身を守り救ってくれるものではないのです。
他方で、自分が行き詰まりを感じたときに、目の前の困難がもたらす「もうひとつの面」を熱心に探し、良いことに目を向けることは、不安や不満を和らげその場所で頑張り続けることを可能にするという意味で自分の心を守ることに繋がります。

日々理不尽で不条理なことが起こるこの世の中で、心を守り日々の歩みを止めないように自分を支えることができるのは他者からの承認では決してないのでしょう。
自分で自分自身を絶えず見つめる眼差しをもって自分が抱える不安や不満にいち早く気付き、素早く「もうひとつの面」を探して感情をリカバリーする。
この積み重ねが人生の行き詰まりを解消する処方箋に他ならないのだと思います。

3.おわりに

本日も最後までお読み頂きありがとうございました。
これから季節は秋から冬に向かいます。
移り変わる日々の彩に目を向けられる心の余裕を持つサポートが出来たなら、こんなに嬉しいことはありません。
それでは、次回の記事でお会いしましょう!

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