『法律事務所就活を始めよう~合格後の世界に一歩踏み出す1・2・3ステップ』
目次
0.令和3年司法試験合格の皆様へ
去る2021年9月7日午後4時、令和3年司法試験合格発表が行われ、新たに1421名の司法試験合格者が誕生しました(合格者の皆様、おめでとうございます!)。
これから司法修習生採用選考を経て、12月からは早速第75期司法修習生として約1年の司法修習がスタートします。
それまでの日々の過ごし方は、ゆっくりと骨休めをしたり、修習に向けて新たな勉強をスタートさせたり十人十色だと思いますが、皆さんが気にしておられるのは、やはり「就活」ではないでしょうか。
修習生活が始まるまでに内定を得ている修習生は、全体の約3~4割と言われています。修習地が必ずしも第一希望地に決定するかわからないこと、修習は案外と忙しく、就活と
の両立は大変であること、任官・任検希望は狭き門であり、確実に作用される見込みは(少なくとも現時点では)はないことを踏まえても、司法修習前に内定を決めておくことは、円滑な修習生活の一助となることは間違いありません。
ここでは、第75期司法修習予定者の皆様に向けて、『法律事務所就活のはじめの第一歩』をご紹介致します。それでは早速見ていきましょう!
1.求人情報はどこで見る?―主要ツール3つをフル活用しよう!
法律事務所就活は『新人弁護士(75期)を採用中の事務所を探すこと』から始まります。
以下では3つの主要な探し方をご紹介していますので、皆さんの希望進路(希望分野)に
合わせて、是非色々と見てみてくださいね。
(1)求人サイトを活用する
当サイト(『弁護士求人ナビ』と言います!)のように、弁護士求人に特化した就活サイ
トを利用することが最も一般的です。
就活サイトを利用する最大のメリットは「幅広い分野の法律事務所に出会えること」。
例えば、自分としては「将来は刑事弁護に強い弁護士になりたいな」と思っていたとして
も、修習中に「企業法務ってこんなに面白いんだ…!」と自分の新たな興味・将来性に気付
くこともよくあります。
この気付きを早くに得ることは、内定先事務所とのミスマッチを避け、早期退所を防ぐこ
とにもつながりますので、ぜひ視野を広く持って様々な事務所の説明会・事務所訪問・オー
タムクラークに参加されることをおすすめします。
(2)事務所のホームページを活用する
採用活動に注力している事務所や、知名度が高い事務所の多くは、自所ホームページ内に
「採用特化ページ」を設けています。
この「採用特化ページ」では、業務内容・取扱分野・給与等の待遇面等の一般的な事項だ
けでなく、事務所理念・求める人物像・入所されている先生方へのインタビュー等、『事務
所の個性』について詳しく知ることが出来るようになっています。
自所ホームページ内に採用特化ページを設けておられる事務所の採用選考では、このペ
ージをよく読み理解していることが選考の前提になっていますから、エントリーシートや
面接で無理解を悟られることのないよう、しっかりと読込み、事務所分析されることをおす
すめします。
なお、この「採用特化ページ」から事務所の採用選考や説明会、個別訪問に応募できる場
合がほとんどです。
(3)Twitterを活用する
最近では、採用活動の一環としてTwitterを使用する事務所・先生方も多くなってきまし
た。知名度の高い新興系法律事務所だけでなく、いわゆる町弁の先生方や企業法務中心の
法律事務所、独立されたばかりの先生方など、経歴は多種多様!
日々のツイートからは、先生方の現在の業務内容や興味、事件についての感想や依頼人と
の接し方、事務所経営の方針等、『弁護士の日常』を様々な観点から学ぶことができます。
ご自身のライフプラン等に沿った法律事務所を探すためにも、ぜひ色々な弁護士&法律
事務所のアカウントをフォローしてみてくださいね。
2.事務所説明会や個別訪問に参加してみる―可能性を狭めずどんどんチャレンジ!
最近では、明確な進路や希望分野を持つ就活生が増えてきました。
一方で、弁護士は多岐にわたる法分野にコミットできる存在であり、「特に志望分野はな
かったけど、とりあえずやってみたら面白くて、気付いたらその道の著名人になっていた」
とか、「依頼されてしまったのでやってみたら、どんどんその分野が得意になり、ついに独
立した」等、司法試験合格時には思いもしなかった分野で活躍されている先生も非常に多い
印象があります。
合格後の今はみなさんの将来の可能性を一番大きく広げられるときですから、志望分野
や志望事務所が決まっていても、新たな興味を見つけるor今の志望をより固めるため、様々
な事務所の説明会等に参加することをおすすめします!
(1)事務所の説明会等に応募してみよう!―参加のために選考はあるのか?
事務所説明会や個別訪問、法律事務所インターン(オータムクラーク等)の情報は上記3
つのツールから得ることができます。先着順や予定数に達し次第募集終了の事務所も多い
ので、少しでも気になったり、迷った事務所は「とりあえず応募してみる」という気軽なス
タンスで臨みましょう!
①事務所説明会の選考は?
事務所説明会時点から選考を行っている事務所もありますが、多くの事務所は応募すれ
ば参加できます。もっとも、この段階からエントリーシートや成績証明書や司法試験成績表
(※論文成績表は追完可としているところが多いです)を求める事務所もありますので、準
備しておく方が無難です。
事務所説明会では、事務所の説明のほかに、先生方との座談会や質問タイム、アンケート
提出が求められるところが多くあります。どのような質問をしたかや、アンケート内容につ
いては事務所の採用担当者がじっくり見て、その後の採用選考の参考にしていることもあ
ると思われますので、説明会にも一定の緊張感を持って真摯に取り組むことをおすすめします。
②個別訪問、法律事務所インターン(各種クラーク)の選考は?
個別訪問やクラークの受け入れについては選考を行う事務所がほとんどです。そのため、
エントリーシートや成績証明書や司法試験成績表の提出が求められた場合に備えて、エン
トリー後の流れについて書かれたホームページの記載等をよく読んでおきましょう。
個別訪問は少人数制の事務所説明会のイメージですが、より採用選考に直結しています。
個別訪問時にすでに採用内定のお話がされたり、他方で感触が良くなく、その後のエントリーには至らなかったあるいはエントリーしたものの書類選考落ちになることもあるようです。
各種クラークは平均3日~7日程度のインターン制度であり、約8000円~10000円程度
の日当も出る上、食事会等も開催されることが多いため、司法試験合格者に非常に人気があります。
その事務所では実際にどのような業務が扱われているのかや、執務中の先生方の様子を
垣間見ることができたり、事務所によっては裁判や調停に同行させてもらうこともできるので、参加先の事務所で自分が働くイメージを掴みやすいというメリットがあります。他方で採用枠が非常に少ないため、どの事務所でも熾烈な競争が予想されます。早めの応募及びエントリーシートの熟考が必要と言えるでしょう。
(2)応募したけど何の音沙汰もない…参加の可否の連絡は?
世の中には「サイレントお祈り」という言葉がありますが、法律事務所の採用選考等に関
してはこの「サイレントお祈り」がやや多い印象があります。また、何ら連絡もないまま
と思っていたら、1~3か月後に「お祈りメール」が送られてきたことも筆者の実経験とし
てありますので、1~2週間以内に連絡がなければ、今回は残念ながら不採用だったと考えて次に進みましょう!
※「多数の事務所にエントリーしたものの、なかなか採用に至らない…」という方は、エン
トリーシートからあなたの魅力が充分に伝わっていない可能性があります。弁護士求人ナ
ビの無料相談も是非活用してみてくださいね。
3.事務所説明会や個別訪問等に参加した『その後』は?
稀に、個別訪問等に参加しただけで内定を出す事務所もありますが、多くの場合、個別訪
問等では就活生の能力や事務所との相性を確認するに留め、実際に採用内定を出すか否か
はその後の採用選考を経て決定されます。
そのため、事務所説明会や個別訪問等に参加した際、その後の採用選考の流れについて説
明があった場合は、きちんとメモを取るなどしてその後の採用選考に備えましょう!
(1)採用選考にエントリーするかの判断基準
事務所説明会や個別訪問等に参加した後には、おそらく、「なんとなく」レベルではあってもエントリーするか否かについて自分の中で決意が固まっていることがほとんどだと思います。
一方で、「第一志望ではないけれども、とりあえず応募しようか…」「でも、本命の事務所の選考はもっと後にあるんだよな。この事務所から先に内定が出たら、本命の事務所に応募できないのかな?」等の心配も生じるかもしれません。
この点については、最終的には読者の皆様の判断に委ねることになりますが、採用内定が出るかはエントリー段階では誰にもわからないことですし、その時点では第一志望ではなくても、面接官と話していく中で気持ちが変わることもよくあることです。
「将来の職場に関するあらゆるチャンスを逃さない」ということを最大の目標にするならば、やはり少しでも気になる事務所には積極的にエントリーする方が、その後の後悔を避けることができるでしょう。
(2)事務所説明会等終了後~採用選考が始まるまでに準備すべきこと
まずは、事務所説明会等でお話頂いたことをノート等にまとめ、事務所に対する理解を深めましょう。この際、出来る限り事務所のホームページ等も参照し、まとめた内容が正確であるか確認したり、面接等で質問したい事項(逆質問の内容)を事前に検討しておくこともおすすめです。
事務所の情報を整理し終えたら、次にエントリーシートや面接での志望理由や自己PRで話す内容について検討します。ここで注意したいのは、「その内容からエントリー先事務所+自分のことが透けて見える」ような内容にまとめることです。
つまり、エントリー先事務所のことをよく理解した上で、
「御所の〇〇という点は、私が目指す~~という弁護士像に…という点で合致しており、私が御所に入所した際には、……という活動をしていきたいと考えております。」
というように、事務所の特長と自分のPRポイントや希望を足し合わせていくことで、採用側に自らの事務所に対する理解を示すことができます。
ぜひ、この点を意識してみてくださいね。
4.おわりに
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
これからの就活が人生初の就活という方も大勢おられると思いますが、一番大切なことは、「少しでもミスマッチを減らし、自分らしく輝ける事務所と出逢うこと」です。
視野を広く持ち、色々な事務所を見つけ、最高の出逢いをされることを願っています。