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司法試験合格に向けた計画策定~法科大学院生は予備試験を「必ず」受験すべきなのか~(中)

司法試験合格に向けた計画策定~法科大学院生は予備試験を「必ず」受験すべきなのか~(中)

1.はじめに

こんにちは。おひさまです。
前回から法科大学院在学生の予備試験受験に関する記事を執筆させていただいています。
前回の記事はこちらから

今回は、前回も言及した通り、実際の法科大学院在学経験者(予備試験合格により中退されている方もいらっしゃるので、このような表現をさせていただいています)に対して実施したアンケート結果を公開し、それを踏まえて過去の法科大学院在学経験者がどのような目的意識で予備試験を受験していたのかなどを総括していければと思います。

2.アンケート結果の概要 ~予備試験受験者編~

予備試験受験者の方は、合計で7名の方にご回答いただきました。以下、回答です。

Q1:司法試験合格までの経緯を教えてください。

Aさん
私立大学卒業→国立法科大学院入学→予備試験合格により法科大学院中退→司法試験合格
Bさん
大学卒業→私立法科大学院入学→予備試験合格→司法試験合格→法科大学院中退
Cさん
慶應大卒業→同法科大学院入学→予備試験合格により休学・司法試験合格により中退
Dさん
大学卒業→法科大学院入学→法科大学院卒業→司法試験合格
Eさん
法学部卒業→私立法科大学院卒業→司法試験合格
Fさん
大学卒業(法学部)→私立法科大学院入学(既修)→司法試験合格
Gさん
大学卒業→私立法科大学院→同大学院卒業→司法試験合格

Q3-1:あなたが予備試験を受験した目的または目標を教えてください。

Aさん
1年でも早く司法試験に合格するため
Bさん
最終合格して法科大学院を中退する。
Cさん
就職活動で有利に立ち回る。予備試験に合格していなければ参加できない説明会やインターンがあるので、そこで有利に立ち回るためにも予備試験を目指す価値はあると感じました。
Dさん
司法試験までに短期的なゴールを見つけることで勉強のマンネリ化を防ぐ
Eさん
最終合格して法科大学院を中退する、短答、論文を本試験の模試感覚で受けて感覚を養う(本試験の会場の雰囲気を知る)
Fさん
短答知識を法科大学院在学中にひと通り勉強しておきたかったから。短答に合格して論文試験を受験することで、受験生の中での自分の実力がどの程度か知りたかったから。
東京会場では予備試験の会場が司法試験の会場と同じ会場だと聞いていたので、本命の司法試験に向けて会場慣れをしたいと思ったから。(コロナによる試験の延期で実際の司法試験は予備試験とは別会場で受験した。)法科大学院在学中に予備試験を受ける際は、短答は合格、論文は合格出来なかったとしても上位50%までの順位は取りたいという目標を立てて勉強していた。
Gさん
試験慣れのため(当初は最終合格までしたら就活等で有利になると考えていたので最終合格を目指していたが、勉強が間に合わなかったので、上記の目的で受けることとなった)

Q3-2Q3-1であなたが定めた目的・目標を達成するにあたり、どんな取り組みをしましたか。

Aさん
大学卒業前の春休みから短答や論文答練に取り組んだ
Bさん
司法試験を見据えた各科目論文対策と並行して,行政,会社,両訴の短答の対策をした。また,出題形式や時間配分の点で司法試験と異なるため,過去問により,予備試験の論文の対策もした。予備試験論文式試験合格後には,同じく論文を通過した同期とともに,口述式試験の対策もした。
Cさん
伊藤塾に通う。伊藤塾は、通学クラスだったこともあり、同じ予備試験・司法試験合格を目指すリアルの友人が多くいたことで、モチベーションを高く維持することができました。
法科大学院で自主ゼミを組む。優秀な同期と自主ゼミを組み、ロースクールの試験の対策、講義の予習復習、司法試験の過去問対策を行うことでモチベーションを高く保ちつつ、ワイワイ問題を検討することで適度な息抜きもでき、メンタル的にも役に立ちました。
Dさん
予備試験が近い時期が予備試験、遠い時期は司法試験の勉強をして、常に勉強する
Eさん
短答合格を目指し、各科目の肢別本に取り組んだ。通学中や休み時間、寝る前などの隙間の時間に取り組んだ。また、紙媒体だと重くて持ち運びも大変なので、科目によってはアプリも活用した。短答合格後、論文対策としては予備試験の過去問を解いた。また、普段の法科大学院の授業も論文対策になったと思う。
Fさん
予備試験の過去問を演習した
Gさん
場馴れのためではあったが、合格できるかもしれないとの緊張感の中で受験したかったので、短答式の勉強はできる限りした。ただ、パーフェクトを上三法2回、その他1回しかできなかった。

Q3-3受験の結果はどうでしたか。

最終合格(既修1年目→Aさん・Bさん・Cさん・Dさん、既修2年目→Eさん)
短答合格(Eさん・Fさん→論文1200位くらい)
短答不合格(Gさん)

Q3-4:予備試験の勉強にあたって、法科大学院に通いながら予備試験の勉強をする上で苦労したこと、大変だったことはありますか。あるとすれば、どのようなことですか。

Aさん
ローの時間的制約から、答練に通いにくくなり、論文を書くペースをつかみにくかったこと
Bさん
基本的には法科大学院の講義や司法試験対策と共通するので,予備試験故に大変なことはなかった。
Cさん
法科大学院の予習復習と予備試験の受験対策の両立。どこのロースクールもそうだと思いますが、予習復習にかなりの時間を取られるので、その合間を縫ってしっかりと予備試験の対策をすることはそれなりに大変でした。
もっとも、慶應義塾大学法科大学院では、試験に直結するような講義が展開されている場合が多く、講義中のソクラテスに答える中で自分の実力を徐々に向上させることができたのではないかと感じました。
Dさん
授業との両立
Eさん
法学部卒業→私立法科大学院卒業→司法試験合格
Fさん
あくまで法科大学院在学中は短答合格を目指し、論文は腕試しくらいの低い意識しか持っていなかったので、そこまで法科大学院の勉強との両立で苦労したということはなかったと思う。
ただ、論文試験の直前期に法科大学院の方で模擬裁判の授業があり、そちらの準備と並行して勉強するのは大変だった。具体的には、予備試験の論文を解くなど、まとまった時間を取って対策をすることは難しかった。
Gさん
法科大学院の授業をメインで取り組んでいたので、予習復習をしていると予備試験の勉強時間をうまく確保できずに苦労した(予備試験合格に必要な勉強もよく分からず手当たり次第という感じだったので、このことも相まって効率的に勉強できなかったと感じている)。

Q3-5:予備試験を受験したことでよかったこと、その後の司法試験の勉強で役立ったことはありましたか。

Aさん
自分の答案を司法試験前に考査委員に見てもらい、評価をつけたもらえたことが大いに役に立った
Bさん
全科目の短答の勉強をしてあるので,司法試験の土台にもなった。
Cさん
就職活動で有利に立ち回れること。前述のとおり、予備試験に合格していなければ参加できない説明会やインターンがあるので、そこで有利に立ち回るためにも予備試験を目指す価値はあると感じました。
予備試験で採点の感覚を身に着けることができた状態で本試験に臨むことができたこと。これは予備試験(特に論文式試験)を受験する大きなメリットだと思います。司法試験の採点委員と同じ方々に論文の答案を評価してもらう貴重な機会だと感じています。
合格するにせよしないにせよ自分の答案に対して客観的な評価が下るため、これを受けて今後の予備試験や司法試験の論文の対策ができるという意味で、予備試験受験は非常に価値があることだと思いました。
Dさん
就活で大分有利に働いた、自信がついた、司法試験の勉強に生きた
Eさん
短答合格が本試験の短答への自信につながった
Fさん
民訴、刑訴、行政など、司法試験では短答がない科目についても、予備試験の短答対策をする中で、判例や条文の知識を身につけることができた。
また、予備試験の過去問を解くことで、司法試験で重複したり、問い方を変えて出題されている論点があることが分かった。司法試験の過去問以外の問題を解くことで、論文対策の幅が広がったと思う。
Gさん
日々の勉強と試験対策をリンクさせる、具体的には試験出てそうなところは厚く勉強したりといったことを意識するようになったことがよかったことだと思う。
また、試験前に多くは勉強できないと気づいたので、まとめノートを作ったり、見返すべき部分をあらかじめ絞っておく習慣ができたのはよかったと思う。

Q5:司法試験合格に向けて、中心にしていた学習はなんでしたか。

Aさん
辰巳法律研究所の論文答練
Bさん
学校の講義,過去問演習
Cさん
法科大学院の友人との自主ゼミ
1週間に1回くらいのペースで司法試験の過去問を検討しました。具体的には、それぞれで司法試験の過去問を起案し、それぞれの起案を各自が確認して、お互いに各自の答案に対して意見を述べていくというスタイルでゼミを行っていました。自分1人だけで試験対策をすると、他者の目を意識していない独りよがりな答案を作成してしまうこともあったので、この自主ゼミを通じて自分の答案が他者からどう見られているのかをじっくり検討できるようになった点は貴重な機会でした。
予備校の答練
予備校の模試や答練などは、母集団の中における自分の相対的な立ち位置を把握する材料として有効活用していました。普段から、自分の相対的な立ち位置を把握しておけば、試験本番であっても普段通りやれば合格できるんだという自信を持って臨むことができるので精神安定剤としても、予備校の答練や模試を活用することは役に立ちました。
Dさん
過去問演習、自主ゼミ
Eさん
学校の講義と司法試験過去問(論文)演習
Fさん
基本的には、法科大学院の授業を中心に学習した。法科大学院の授業の復習をしてきちんとその内容を身につけること、司法試験の過去問を解いて文章力、問いへの答え方を学修することに力を注いでいた。特に、論文の添削指導を受けられる授業の復習は力を入れた。
Gさん
授業の復習を頑張った。具体的には授業で習った部分で試験に出そうなところをノートにまとめた。また、関連する百選をその都度まとめたり、問題集の解答を作成していた。受験の年はまとめノートを復習しながら、司法試験の問題をひたすら解いた(苦手な科目は自主ゼミを組んでもらったりして答案添削をし合ったりしていた)。

Q6:最後に、現役の法科大学院生に対してアドバイス・メッセージがあればお願いします。

Aさん
試験対策の観点からは、予備論文を受験すれば自分の答案の考査委員からの評価を知ることができます。論点を書けたという場合に、点になりやすい人と点になりにくい(かけたと思ったのに評価が伸び悩んでいる人)がいると思います。後者の場合、日本語が読みにくいとか、問題文の分析の仕方が甘いとか、個々の論点を学修、暗記するよりはるかに重要な課題があるはずです。
予備論文を受験しなければ、そもそも自分は点になりにくい人なのか否かすらわかりません。この状態で司法試験本番に臨むのはあまりにリスキーであるとさえ言えます。
したがって法科大学院の皆さんには、ぜひ、予備短答は突破してもらい、少なくとも予備論文を一生懸命受験することをノルマに頑張っていただきたいです。また、大手事務所等の人気の事務所は、近時は予備試験に受かっている状態で就活をする人が多いので、予備試験に受かっていないということは反面、相対的に不利な位置にいることになります。
したがって、このような事務所を目指される皆さんは、予備合格は必達目標であると考え、頑張っていただきたいです。
皆さんが希望を実現されることを心から祈っております。
Bさん
法科大学院の講義や司法試験に向けての勉強の一環として,予備試験を受験することは十分可能であり,それ自体司法試験に向けた練習になる上,運良く合格すれば,一足早く司法試験に合格できたり,就活で有利になるなど,メリットも大きいので,積極的な受験をおすすめする。
Cさん
何年次であろうとも予備試験合格には前述のとおりの種々の価値があると思うので,最後まであきらめずに頑張ってください!
Dさん
メンタルケアは欠かさない方が良いと思います。
Eさん
大変な時期だと思いますが、勉強を頑張ってください。
Fさん
コロナ禍という大変な状況が続き、先輩や同期との繋がりが持ちにくいと思います。
しかし、自主ゼミを組んでみる、オンラインで学習相談をするなど、出来る限り周囲の人との繋がりをもって勉強をすると良いと思います。頑張ってください。応援しております。
Gさん
日々コツコツとまとめることが大切だと思います。試験直前に重要部分が見返せるように短くしかし必要部分は削らないようにまとめていくことが大切だと感じました。あとは、過去問を早めに解いて、解説をしっかり読み込み求められていることを早めに掴んでそれに沿うように日々勉強することが大切だと思います。

3.アンケート結果を踏まえて

いかがでしたでしょうか。
予備試験を法科大学院在学中に受験していた方は、在学中に予備試験に合格し、法科大学院を中退して1年でも早く司法試験に合格したいという意識が根底にあるようです。
実際、法科大学院の学費は入学から終了までに、国立で200~300万円程度、私立で300~400万円程度かかります(おおよその数値です。初年度はこれに入学金が20万円前後上乗せされるところが多いかと思います)。学費がもたらす経済的負担は小さくないとはいえませんので、予備試験合格により、経済的負担を避けることができるので、法科大学院在学中の予備試験合格のメリットは大きいと思います。
さらに、経済的な点のみならず、予備試験合格を果たすことは司法試験合格に当たっても大きな自信になると思います。実際に、令和3年司法試験では、短答式試験に予備試験枠で受験した受験者全員が合格し、その内の9割以上が最終合格を果たしていることがデータからも明らかになっています(参照:令和3年司法試験短答式試験法科大学院等別人員調、令和3年司法試験法科大学院等別合格者数等)。あえて挙げることはしませんが、予備試験組の司法試験合格率は上昇傾向にあり、毎年高い割合を維持しています。

また、就職活動をおこなうという点においても、予備試験に合格することで、自己の経歴に箔が付き、大手の事務所の面接に呼ばれるなど、就職活動を有利に進めることができるという利点もあるみたいですね。
また、個人的には就職活動をしている際に、予備試験に合格して若い年齢で就職活動をしている人たちはニーズが高いのかなと感じる部分がありました。
自分のなりたい法曹像を固めるにあたって、就職活動の選択肢を多く持てるという意味で、予備試験合格を目指すことはいい事だと思います。

次回は、法科大学院在学中に予備試験を受験しなかった方々の意見をご紹介いたします。お楽しみに。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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